2012年7月18日水曜日

高架PI勉強会開催進まず

高架PI勉強会開催は未定  高架PI推進派人選進まず  沼津駅付近鉄道高架事業に関するPI(パブリックインボルブメント)委員会の五回目が十四日、県東部総合庁舎別棟で開かれ、委員六人のうち、石田東生委員長(筑波大教授)、委員の高井佳江子弁護士、寺部慎太郎・東京理科大准教授、目加田説子・中央大教授の四人、県、市担当職員のほか傍聴者二十八人が出席。傍聴席には同事業推進の中心的存在だった前議員や現職議員、見直しを求める議員の顔も見られた。  PI委初めて市内で開催  JR東海、貨物の考えも報告  あいさつで石田委員長は、これまで静岡と東京で二回ずつ開いてきた同委員会だったが、今回、二十八人の傍聴者が出席したことに触れ、「やはり地元でやらなければいけない」と、多くの市民に計画を知ってもらうことの重要性を指摘した。  四月に始まったPIのステップ2では、事業概要説明や意見聴取を行うオープンハウスを市内六会場で開き、また、自治会や商工関係者、NPO団体などと意見交換する車座談義を十七回開いた結果を事務局が報告。  オープンハウスにおいては、地域資源として「富士山が見えるなど豊かな自然」「海の幸など豊冨な食材」「御用邸に食材を提供したほどの農産物」「県東部地域の拠点都市」「高校が多く市内外から高校生が集まる」ことなどを指摘。  課題としては「にぎわい、活気がない商業の衰退」「西武撤退後のまちが心配」「高齢化と人口減少」「市の財政面」「地震・津波・液状化」「沼津駅周辺の南北往来」「踏切の待ち時間」などがあった。  また、沼津駅周辺におけるガードの交通状況としては、「渋滞する(週末、祝日が多いが、ガード前後の信号が原因)」「歩道が狭く、暗くて怖い」「大雨で冠水する」「道路の線形が悪い」「あまねガードは自転車に乗ったまま通行できない」。  地域づくりへの期待と懸念では、「若者が集い職場があるまち」「千本松フォーラムの完成をきっかけにしたい」「海、海岸線、港、千本浜、新東名SA(サービスエリア)、国道一号沿いの桜など既存の地域資源を活用」「商店街を中心とした従来型の街づくりは時代に合わない」「高架化により景観が悪くならないか心配」「企業誘致などで人口を増加させる努力が必要」「まちなかに憩いの場となる大きな公園が欲しい」「健康文化タウン基本構想」など。  鉄道高架事業に対する意見としては「高架事業の目的は何か、説明が不足している」「高架事業の何が問題なのか知らなかった」「駅周辺に住んでいても高架事業に無関心な人が多い」「鉄道高架ではなく橋上駅や南北自由通路で十分」「早く鉄道高架を進めてほしい」。  車座談義でのPIプロジェクトに対する意見としては、「公正にPIを進めてほしい」「沼津駅高架PIには期待している」「今さらPIを実施する必要はない」「PIは高架ありきで進むのではないか」などがあった。  事業者ヒヤリングでの高架事業に対する考え方  JR東海は「県が策定した事業について協議を受け鉄道事業への影響を検討したうえで、協力すべく同意したもの」だとし、JR貨物は「貨物駅の機能が維持されることを前提とし、事業の推進に協刀している。貨物駅の機能維持は、静岡県が策定した現在の移転計画によるもの」としている。  高架PIプロジェクトに対する考え方 JR東海は「同事業に同意している立場。県がPIの結果として協議内容を変更する場合には、県から協議されるもの」、JR貨物は「本事業および一連のまちづくり計画について、改めて方向付けをするために実施しているものと認識」。 事業計画変更の影響 JR東海は「事業変更を計画する場合は早急に協議いただきたい」、JR貨物は「計画変更の内容、程度にかかわらず、現在の貨物駅機能は当然、維持されるものと考える。変更の際は県から改めて協議があるものと認識している。また、区画整理事業区域にも土地を所有しているため換地計画が完了しない状態で事業が中断、あるいは長期化するとなれば土地利用上、大きな制約、影響を受ける」としている。 報告終了後、寺部委員はJR東海とJR貨物からのヒヤリングについて「高架を進めたいんだな、ということがよく分かる。可能ならばJRの人にも勉強会に参加してもらいたい」と要望。 高井委員は「沼津駅周辺の商業者からの聴取はないのか」とし、寺部委員は「バスやタクシーなどの公共交通事業者、(物流の)運輸系事業者からも聴取してほしいと」と要望した。 本来、立ち上がっていなければならない勉強会が、まだ人選できていないことについて石田委員長は、夏を予定しているステップ2の終了時期を質問。県担当者は「勉強会が立ち上がっていないが、勉強会は重要。広報 紙を通じて訴えるが、具体的時期については今、言えない」と答えた。 勉強会は、オープンハウスや車座談義を経て、さらに議論し意見集約する場とされているが、同事業に疑問を抱いている市民の多くが参加を希望している反面、推進する立場の市民の参加が難しい状況だという。 (沼朝平成24年7月18日号)

2012年7月17日火曜日

ヨー力堂、3年内に不振店1割閉鎖へ

ヨー力堂、3年内に不振店1割閉鎖へ  セブン&アイ・ホールディングスは15日、傘下のイトーヨーカ堂が手掛ける国内の総合スーパー173店舗のうち約1割を閉鎖する検討に入った。  赤字の不採算店を閉鎖し、スーパー事業の業績立て直しを急ぐ。3年以内に地方の中型店を中心に15~20店舗を閉める方向で調整する。  セブン&アイの2012年3~5月期のスーパー事業は営業利益が前年同期比52・7%減と落ち込んだ。東日本大震災による買いだめ特需がなくなった反動に加え、地方にある店舗の苦戦が目立ち、娯楽施設も備えた大型ショッピングモールに押される形で販売が伸び悩んだ。  このため、不採算店を閉鎖する一方、大型モール「アリオ」や食品中心の小型店の出店を加速させる。 (静新平成24年7月17日朝刊)

2012年7月1日日曜日

商都に衝撃 下

商都に衝撃 下  西武沼津店閉店 都市整備 回遊性、集客に懸念  "顔"づくりが急務  「いつかはこうなると思っていた」「沼津駅の南側はこれからどうなってしまうのか」ー。西武沼津店(沼津市大手町)の撤退が明らかになった6月27日、沼津仲見世商店街の男性店主と常連客の女性はため息交じりにつぶやき、「SEIBU」の青い大きな看板を見上げた。  かつて「商都」の名を欲しいままにした沼津市中心街。その衰退は年々深刻さを増している。市の調査によると、駅南側を中心とした市街地の1日当たりの歩行者数は1991年の約15万6千人をピークに減少し続け、2011年度は4万1千人にまで落ち込んだ。  こうした現状とは対照的に、駅周辺では県東部の拠点都市を標ぼうした再開発事業が着々と進む。駅北口では06年に都市型商業施設「BiVi沼津」が開館し、14年夏には東部コンベンションセンター「プラサヴェルデ」が全館オープンする。  再開発事業と連動して行うはずだった鉄道高架事業は貨物駅移転先の地権者らの反対があり、先が見えない状態が続いている。ちぐはぐな都市機能整備とまちのシンボルの消滅により、沼津全体の回遊性や集客力の低下を懸念する市民は多い。特に駅南側に人を呼び込むには、西武沼津店に代わる新たな"顔"づくりが求められる。  同市のNPO法人駿河地域経営支援研究所の深沢公詞理事長は「もはや商業で人を呼べる時代ではない。中心市街地の再生とは何か根本的に見つめ直し、早急に行動に移さなければならない」と力を込める。  西武沼津店の閉店は、経営陣が厳しい小売店業界の現実から目をそらさずにスクラップ・アンド・ビルドを断行した結果と言える。企業経営研究所(三島市)の中山勝常務理事は「まちづくりの計画も時代に合わせて常に修正していくべき。中心市街地にあらゆる都市機能を求めるのではなく、病院や文化施設など目的がはっきりした施設を置き、地域の役割にメリハリをつけることが大切」と指摘する。  少子高齢化、定住人口の減少、商業施設の郊外進出ー。時代の波と対峙(たいじ)している沼津市は今、決断が求められている。 (東部総局・田辺貴一、豊竹喬が担当しました) (静新平成24年7月1日)

中心街根本的に見直せ

静岡新聞 社説<2012.7.1> 西武沼津店撤退 中心街根本的に見直せ  沼津市のJR沼津駅前の西武沼津店が来年1月末で閉店する。運営会社のそごう・西武が決定を地元に伝えた。沼津のみならず、東部でも唯一の百貨店で、衝撃は商業関係者にとどまらず一般市民に広がっている。「商都・沼津」の沈滞を象徴する出来事だ。  決定を受け、市は中心市街地の活性化と都市機能の再生、集積に向けた庁内委員会を緊急に立ち上げた。商工業者などでつくる市中心市街地活性化協議会も「まちづくり部会」(仮称)を,設置する方針を固めた。官民が連携し、中心街そのものの在り方を根本的に見直す機会とすべきだ。  同店は1957年、西武が地方第1号店として出店した老舗。盛期には伊豆半島を含む広域から多くの集客があり、売上高は200億円を超えたが、2011年度は74億円とそごう・西武26店舗中、最下位だった。  中高年層や贈答品など一定需要はあったが、若い世代の関心は低かった。駅前に立地する百貨店という業態自体が、沼津など地方都市に合わなくなったという見方もある。  西武撤退のうわさは以前からあり、2年前には厳しい状況を説明するそごう・西武の山下国夫社長に、市長らが存続を説得した。業績が悪化する同店を中心市街地の中核にしたまま依存してきた行政や商業界は反省しなくてはならない。  中心市街地の年間商品販売額は大幅な減少が続き、空き店舗率は4月時点で約10%と、この10年間でほぼ倍増した。昨年の歩行者通行量は00年の半分以下だ。付け焼き刃的に空き店舗を埋めても、効果は限られる。  西武撤退で最も懸念されるのは中心街の空洞化の加速だ。跡地利用については、まちづくり全体の視点で考えるべきで、商業施設だけが選択肢ではない。中心部に人口を増やすためのマンションや文化施設なども視野に入れたらどうか。  沼津駅北口には14年夏、県と市による東部コンベンションセンター「プラサ・ヴェルデ」が開業する。県東部の拠点施設にふさわしい駅周辺のにぎわいは各種催事の誘致に欠かせない。懸案の駅周辺の鉄道高架事業の先行きが不透明なままでは、西武跡地への進出意欲や誘致活動にもマイナスになる。  沼津市では昨年、沼津東急ホテルが事業譲渡し、全国ブランドの撤退が続く。半世紀以上も親しまれていた百貨店の閉店に「来るべき時が来た」と受け止めた市民も多い。西武撤退を新たなスタートととらえ、市は中心街の立て直しを急いでほしい。 (静新平成24年7月1日朝刊)