2014年3月3日月曜日

屋外広告物を市条例で規制

屋外広告物を市条例で規制
良好な景観形成、公衆への危害防止目指し
 屋外の広告物と、広告物を掲出する物件が四月一日から、沼津市の条例によって規制される。これによって良好な景観を形成し、都市の趣を維持するとともに、公衆への危害を防止しようというもので、条例は昨年の市議会十一月定例会で制定された。この条例によって、広告物そのものと、広告物を掲出できる地域、広告物を設置することのできる物件などが制約を受けることになり、問題のある場合、市は市長により必要な措置を命じ、違反に対して罰金を科すこともできるようになる。
 4月1日から実施
 禁止区域や禁止物、罰金規定も
 屋外広告物等は現在、国による屋外広告物法と県条例によって規制されているが、今回、市の条例によって規制することになったのは、沼津市が平成十九年に景観行政団体となり、二十二年に景観計画を策定したことに伴うもの。
 条例は、その目的を「広告物、広告物を掲出(広告物を掲示したり貼付したり)する物件(以下、掲出物件)について必要な規制を行うことにより、良好な景観を形成し、風致(趣)を維持するとともに、公衆に対する危害の防止を図ること」としている。
 その上で、「広告物を表示し、または掲出物件を設置する者」に対して、広告物、掲出物件は「形状、材質、意匠、色彩等」が周辺の景観と調和し、良好な景観の形成に寄与できるよう努めるとともに、適切に表示、設置、管理するよう努力することを求めている。
 また、実際に広告物設置の作業を行う屋外広告業者と設置を依頼する広告主それぞれの責任を明記し順守を求めている。
 条例では、広告物を表示、掲出物件を設置してはならない地域、場所を「特別規制地域」として規定。「文化財保護法や県あるいは市の文化財保護条例によって指定された建造物から一定範囲にある地域」「森林法によって指定された保安林のうち市長が指定する区域」「景観法によって指定された重要建造物や景観重要樹木から一定周囲のうち市長が指定する区域」「道路、鉄道のうち市長が指定する区域」「都市公園法に規定する都市公園の区域」など十三項目にわたって列挙。
 公共施設の敷地内や河川、湖沼、海岸なども含まれている。
 また、広告物を表示、または掲出物件を設置してはならない物件を「禁止物件」として十二項目に分類して規定。
 橋やトンネル、石垣や擁壁と、これに類するもの、信号機、道路標識、カーブミラー、消火栓、火災報知器、郵便ポスト、煙突、銅像、神仏像、一定の条件で指定された樹木などを挙げる。
 また、道路の路面に広告物を表示すること、電柱、街灯柱などに「はり紙」「はり札」「広告旗」「看板」を表示、あるいは掲出物件を設置することを禁じている。
 さらに、特別規制地域に含まれない地域、場所で、広告物を表示あるいは掲出物件を設置しようとする場合に市長の許可を得なければならない区域を「普通規制地域」として、対象となる場合を規定している。
 一方で、規制が除外される場合として、事業や営業のために自分の住所、事業所、営業所などに広告物を表示、あるいは掲出物件を設置する場合で基準に適合するもの、自分が所有あるいは管理する土地で物件の管理に必要で基準に適合するもの、冠婚葬祭や祭礼などのための一時的なもの、講演会や展覧会、音楽会等のため会場の敷地内で行うものなどのほか、道標や案内図など公衆の利便に供することを目的としたもので市長の許可を受けた場合なども規制から除外される。
 経過措置として、現行の基準に適合している広告物、掲出物件については、条例施行から三年間(はり紙などは六カ月)は引き続き表示、あるいは設置することができる。
 以上の景観上の規制のほか、人に危害を与える恐れがある、あるいは安全上の問題から、「著しく破損し、または老朽化したもの」「倒壊または落下の恐れのあるもの」「信号機、道路標識等に類似するものや、これらの効用を妨げるもの」「交通の安全を阻害するもの」は表示や設置が禁止される。
 市長は、広告物の表示、掲出物際件の設置許可をする場合、良好な景観の形成、風致の維持、公衆への危険防止のため、必要な限度において条件を付することができる。
 また、規制に違反した広告物、掲出物件には表示、または設置の停止を命じ、あるいは期限を定めて除却や、良好な景観の形成、風致の維持、公衆への危害防止のための必要な措置を命じることができる。その場合、過失なく相手を確認できない場合は、市長または市長が委任した者が必要な条件のもとで措置する。
 さらに、違反広告物等に対しては違反の表示を行い、許可条件違反の場合、許可を取り消すことができ、規制違反に対して必要な措置を講じるよう命じたにもかかわらず従わなかった場合や、規定違反の広告物等を表示または掲出物件を設置した場合などに五十万円以下、三十万円以下、二十万円以下の罰金が科せられる。
 なお、屋外広告物許可申請手数料の引き上げも行われる。
《沼朝平成26年3月2日(日)号》