2013年11月23日土曜日

中心市街地と郊外への大型商業施設:両立可能か、商連が市長の考えただす

中心市街地と郊外への大型商業施設
両立可能か、商連が市長の考えただす

 沼津市商店街連盟(芦川勝年会長)は、市立病院東側一画に大型商業施設誘致の話が進められていることについて、加盟する十二の商店街としての要望を市に対して行った。二十日、芦川会長ら十一人が市役所を訪れ、栗原裕康市長に要望書を手渡し、市長の考えをただした。市長は中心市街地の活性化とともに郊外開発によるまちづくりを同時に進めることに理解を求めた。


 既存商店街への影響指摘
 コンパクトシティ推進求める
 芦川会長は、市長が中心市街地と郊外開発を両立させるとする一方で、「政治判断で一方を切り捨てなければならないこともあるかも知れない」と発言したことなどを挙げ、「我々の考えを伝えるために来た」とあいさつ。
 商連担当者が「郊外への大型商業施設の進出は中心市街地活性化法における大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画(中活計画)を根源から揺るがすもの」などとする文面を読み上げた。
 芦川会長は、大型施設進出予定地について、市は交流・交通の要衝として期待しているようだが、これまで同所に工場などの進出がなかった理由は地盤が軟弱なため、だとして検証を求めるとともに、「市は、リノベーション事業が中心市街地活性化法と同じような効果があると言っているが、我々には分からない」とし、中活計画をそのまま進めてもらいたいと要望。
 続いて各商店街代表らが発言。
 大手町商店街振興組合の松田和孝理事長は「一回なくなった商店街を再生させるのは難しい。(大型商業施設と)両立させるにしても我々が納得いく形で進めてもらいたい」とし、リコー通り商店街振興組合の大田賢一理事長は「沼津商工会議所新会館とキラメッセぬまづが出来る駅北が良くなるよう、お願いしたい」と求めた。
 仲見世商店街振興組合の土倉弘三理事長は、二十年後の人口予想として静岡県は二〇%、沼津市は二八%減少することを示し、「(進出が言われる)ららぽーとが出来ればイトーヨーカドーが撤退し、さらに人口減少に拍車がかかる」とし、鉄道高架に伴う区画整理で線路南側の仲見世パーキングの駐車場収入が激減したことを挙げ、「我々の仲見世商店街も成り立たず、沼津の街はなくなる恐れがある」と指摘。
 日専連ソニックの横山勝社長は「高架が未だに停滞している中、国がコンパクトシティを進めている。大型店が出来ることで小売業が潰される」と憂慮。大型店は業績が悪化すれば撤退してしまうと過去の例を挙げ、「もう一度まちづくりの絵を描いて貰いたい」と求めた。
 駅前名店街の藤原規夫会長は、中心市街地を訪れる高齢者にとって沼津駅前の地下道は苦痛だとし、「バリアフリーにして」と、地下道を利用せずに買い物ができるようなまちづくりを要望。
 アーケード名店街の水口隆太副理事長は、アーケード再開発会社の社長の立場で発言。アーケードの再開発に関して長い時間と多くの資金をつぎ込んで市と話し合ってきたことに触れ、「中活計画がなくなると(アーケードの地権者ら)百五軒をまとめることが困難になる」として、国が進めるコンパクトシティに沿って事業が進められることを希望する一方、中活計画を外すことによるデメリットを検証するよう求めた。
 商連の市川誼副会長は「コンパクトシティの考え方は素晴らしいもの」だとし、自身が住む周辺に大型マンションが建設されたことで子どもが増え、また狩野川河畔の階段堤が利用できるようになって活性化の機運が盛り上がっている時、中活計画がなくなるダメージを憂慮した。
 本町区商店連盟の竹下功一会長は、前身の時代も含めて「よさこい東海道」が十七年を経過。いろいろな人とのつながりで成り立っていることを挙げ、これまでの様々な経験によって「まちづくりは人づくり」との結論に至ったとしたうえで、「大型商業施設は子ども達のふるさとにはならない。その点も考えて」と訴えた。
 各人の考えを聴いた栗原市長は、沼津を訪れる人の利便性を考え、東名高速道路にスマートインターチェンジを造ることによって大型店進出予定地の利用が浮上したことを話し、規制緩和によって経済成長を図るアベノミクスにならい、市街化調整区域の土地利用を緩和して開発を進める考えを示した。
 また、国土交通省から出向している河南正幸副市長が同省へ赴き、中心市街地と郊外開発を両立させるための情報を収集、その中でリノベーション事業を活用できることが分かった、として両立への理解を求めた。
 また、「政治判断で一方を切り捨てなければならないこともあるかも知れない」との発言について市長は、「私の言葉足らずだった」とし、中心市街地活性化法によっての両立は法律上難しい、としてリノベーション事業による中心市街地の活性化を示した。
 これを受けて芦川会長は「一度潰れた細胞は絶対によみがえらないことを忘れないでほしい」と釘を刺し、大田理事長は「物の売買だけでは、まちは成り立たない」として、学校を誘致するなどの方法を考えるよう求めた。
 ※リノベーション事業正式には「地方都市リノベーション事業」。地方都市の再構築を図るため、地域に必要な都市機能である医療、福祉、教育文化、商業などの整備と維持を支援し中心市街地地の活性化を図る国の施策。

《沼朝平成251123()号》

2013年11月22日金曜日

沼津商連「大型商業施設進出に対する意見書」を栗原市長に提出11月20日午後4時30分

沼津市長栗原裕康様

中心市街地活性化基本計画事業継続要望書
(大型商業施設進出に対する意見書)

 平成2112月に沼津市が国から認定された沼津市中心市街地活性化基本計画は、向こう5か年の中心市街地のビジョンであり、今日まで、その計画に基づき沼津市および中心市街地活性化協議会等と連携しコンパクトなまちづくりを目指し努力してきたところであります。
 しかし、沼津市立病院東側約11ヘクタールへの大型商業施設の進出は、中心市街地活性化法の大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画を根源から揺るがすものであります。
 この沼津市が策定した基本計画は平成273月までとなっており、郊外へ大型商業施設の出店を容認する場合には引き続き国から認定されるのは非常に厳しい状況であります。
 基本計画の終了は、今後、中心市街地に対し国からの支援が非常に厳しくなる他、現在、取り組んでいる様々な中心市街地の活性化事業に物質的にも精神的にも大きな影響が生じるところであります。
 よって沼津市においては方針を転換せず中心市街地活性化基本計画の国へ向けての積極的な事業継続を切望いたします。
 このようなことから、沼津市商店街連盟としては大規模商業施設の進出については反対いたします。
 平成251120()
 沼津市商店街連盟
 沼津仲見世商店街振興組合
 沼津大手町商店街振興組合
 沼津中央通り商店会
 沼津駅北振興会
 沼津リコー通り商店街振興組合
 沼津駅前名店街
 沼津上本通り商店街振興組合
 沼津あげつち商店街振興組合
 沼津新仲見世商店街
 沼津銀座通り商店会
 商店街振興組合沼津アーケード名店街

 沼津本町区商店連盟




2013年11月21日木曜日

 沼津市商店街連盟 市長に要望書提出

「中心街活性化」継続を
 沼津市商店街連盟 市長に要望書提出

 沼津市東椎路の市街化調整区域への大型商業施設「ららぽーと」の進出計画をめぐり、中心街の衰退が懸念されている問題で、沼津市商店街連盟は20日、2014年度末に第1期が終了する中心市街地活性化基本計画(中活)の継続を求める要望書を、栗原裕康市長に提出した。
 要望書は、芦川勝年会長と中心街の12商店街の代表者の連名。ららぽーとの進出計画は、大規模集客施設の郊外拡散を防ぐ狙いがある中活の基本万針を根底から揺るがすと指摘し、第1期終了後、中心市街地に対する国の支援が受けられなくなるほか、これまでに取り組んでいる活性化事業に多大な影響を及ぼすとしている。
 市は19日の市議会全員協議会で、中活を継続をせず、14年度中に国土交通省の「地方都市リノベーション事業」の採択を受け、中心街の活性化に取り組む方針を示した。
 市役所で要望書を手渡した芦川会長は、郊外に大型商業施設が進出することで、「市全体のイメージが拡散してしまう恐れがあり、交通体系や地域性の問題などもある」と述べた。同席した商店街の代表者も「中心街が急速に衰退し、再生させるのは非常に困難になる」「中活をやめることでまちが失うことを詳しく検証してほしい」などと訴えた。
 栗原市長は「定住人口、交流人口の増加を図るためにも、あくまで中心市街地と郊外の活性化の両立を目指す」と理解を求め、専門学校の誘致などで中心街の振興を図る考えを述べた。
《静新平成25年11月21日(木)朝刊》

2013年11月10日日曜日